Q.看護婦をしているものですが、口腔清掃にオキシドールの使用は歯に対してはどうでしょうか。又歯科医の立場からはどう思いますか。
A.口腔ケアにおいて、お口を清掃するときはオキシドールは使いません。歯肉などに炎症があり、出血などしている場合はオキシドールやイソジンガーグルによる洗浄および消毒はいいと思います。ふだんのお口の清掃は歯ブラシか、まきつけ綿棒などに水を湿らしてやった方が効果的です。歯ブラシによるお口の清掃の時は数回ブクブクうがいをさせるといいですね。お口の臭いが強い場合は歯磨剤かデンタルリンスなどを歯ブラシにつけて磨いてあげましょう。
ここ数年の間に「口腔ケア」が注目され、全国各地の病院・施設・在宅で幅広く行われるようになりました。
この「口腔ケア」とは口腔の疾病予防、健康保持・増進、リハビリテーションにより、QOL(クォリティ・オブ・ライフ)の向上を目指した科学であり、技術なのです。言い換えれば、病院のICUや意識障害の患者さんをはじめ、寝たきりの方などの口腔を歯ブラシ・スポンジブラシ・巻き綿子などを用いて手入れ(ケア)を行い、損なわれた状態を改善し、健康を維持することです。
誤嚥性肺炎は要介護高齢者が体調を崩す大きな原因となっています。そこで、口腔ケアを行い、口腔の清潔と健康を保つことが誤嚥性肺炎の予防に大きな効果があがるといわれています。より口腔ケアの必要性が問われ、全国各地の病院や施設で積極的に取り組まれています。 すなわち、口腔ケアを行い口腔の清潔を保つことが、全身の健康に、日々の生活に、食生活に関与しているのです。
(口腔ケアの実際)
歯磨きの手順と方法について |
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1.全身の状態を確認し、お口の中を観察します。そして、歯磨きに必要な物を
準備し、歯磨きをすることを伝えます。
用意する物は歯ブラシ・コップ・タオル・おしぼり・ボール・吸い飲み・水差し・
巻き綿棒(割り箸に綿花とガーゼを巻いた物)数本・歯磨剤・洗口剤など。
2.介護を受ける人を疲労させないように安定感のある姿勢をとらせます。
3.襟元がぬれないように胸元にタオルをかけます。前面介護する時には、頭部下
にビニールシートとタオルを敷いて、布団などをぬらさないように気をつけます。
入れ歯があれば、はずして専用のケースか器に入れておきます。
4.コップやストロー、吸い飲みなどではじめにブクブクうがいをします。すすいだ水
はボールに受けます。吐いた水がこぼれないように、ボールの端をピッタリ口元
に添えて吐かせます。水を飲み込んだり、むせないように顔を横に向けてゆっく
り行います。自分で水が含めない場合は、少量づつ吸い飲みや注射筒などで
お口の中を洗浄する か、巻き綿棒でこすって清掃します。
5.歯ブラシや巻き綿棒をコップの水で洗いながら繰り返し、歯磨きを行います。
コップの水が汚れたら、新しい水に取り替えましょう。
6.歯磨きが終了したら、温かいタオルで顔をふき、さっぱりした感触を高めてあげ
ましょう。胸元のタオルや頭周りのシートなどを取り除き、楽な姿勢にしてから
用具をかたずけましょう。
7.はずした入れ歯を洗い、軽く水分をタオルで拭いてはめさせます。寝る前には
入れ歯を専用ケースか器に入れて保管します。
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